白内障治療を行う方で、多焦点眼内レンズの説明として「ハロー・グレア」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。
ハロー・グレアとは、多焦点眼内レンズ挿入後に起こりやすい現象の一つで、夜間や暗い場所で車のヘッドライトや街灯などの強い光を見たとき、光の周りに輪っかが見えたり(ハロー)、光がギラついてまぶしく広がって見えたりする(グレア)のことです。
この記事では、ハロー・グレアがどんな見え方なのか、なぜ多焦点レンズで起きやすいのか、レンズ選びで何を考えればよいかを解説していきます。
- ハロー・グレアはどんな見え方なのか
- 多焦点眼内レンズは、なぜハロー・グレアが起きやすいのか
- ハロー・グレアが出にくい多焦点眼内レンズはあるのか
- 慣れ・個人差と、術前カウンセリングで確認すべきこと
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。
目次
そもそも:ハロー・グレアとは?

まずハロー・グレアとはどんなものなのでしょう。
ハロー:「輪状の光ボケ」が見える現象

ハローとは、見ている像の周囲に「輪状の光のボケ」が見られる現象です。
夜の車のヘッドライトや街灯の周りに、輪がかかったように見えます。
グレア:光が眩しくギラついてしまう現象

グレアとは、光が星の輝きのように放射状に散って見える現象です。
光がまぶしく感じられたり、にじんだり、放射状に広がって見えたりします。
言葉の違いと見え方のまとめ
- ハロー:光源のまわりに光の輪・にじみが広がる
- グレア:光がぎらついてまぶしく感じる
【院長コラム】ハロー・グレアが起こりやすいレンズとは?
詳しくは別記事で解説していますが、白内障手術で使用される眼内レンズには「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」があります。
多焦点レンズの方が、ピントが合う範囲が広いという利点はありますが、ハロー・グレアが起こりやすいという欠点があります。しかし、単焦点レンズでもハロー・グレアが起こることがあります。
多焦点眼内レンズは、回折現象という理論などにより、遠・中・近などさまざまな距離にピントが合いやすくなっています。その回折構造などにより、ハロー・グレアが発生しやすいと考えられています。
そのため、患者様から『ハロー・グレアが起こりやすのに、多焦点レンズで大丈夫でしょうか…』と心配の声をいただきます。
術後数ヶ月で「気にならなくなるケース」もあります
ハロー・グレアは、時間の経過とともに脳や目が慣れて、気にならなくなる場合が多くあります。数週間から数ヶ月程度(約1〜6ヶ月)で、症状が軽快し順応していきます。
症状そのものが消えなくても、「脳が不要な光のにじみを気にしなくなる」ようになることも多いです。
単焦点・多焦点レンズの違いについては、こちらで別途解説していますので、よろしければご覧ください。
「ハロー・グレアが出にくい多焦点レンズ」は存在する?

【結論】ハロー・グレアが出にくい多焦点レンズは“ある”
単焦点レンズを含め、ハロー・グレアが絶対に起こらない眼内レンズは存在しません。
しかし、単焦点レンズではハロー・グレアが起こりにくく、多焦点レンズの中にも起こりにくいものがあります。
ハロー・グレアは「多焦点レンズだから絶対に起こる」というわけではありません。あくまで、起こる確率に差があるだけです。
ここからは一部の多焦点レンズとその特徴をご紹介します。
①:EDOF(焦点深度拡張型)レンズ

EDOFレンズは、従来の多焦点型とは光学設計が異なり、光の分散の仕方が違うため、ハロー・グレアを最大限に抑えることを可能にしました。
当院でも取り扱いのある「クラレオンビビティ」などは、ハロー・グレアはもちろん、コントラストの低下も生じにくいレンズとして、たいへん多くの患者様から支持されています。
都会とは違い、岐阜では「手術後も車の運転が必要」な場合が多いため、夜間の運転にもできるだけ支障がないレンズとして推奨すること多いレンズです。
回折型多焦点眼内レンズ
回折型(かいせつがた)多焦点レンズは、レンズの表面に微細な同心円状の段差や溝があります。
この段差や溝が光を曲げることで、遠く・中間・近くといった複数の距離にピントが合います。
回折型レンズの最大のメリットは「手元の見え方の強さ」にあります。
デメリットとしては、ハロー・グレアがやや起こりやすいため、夜間の運転などに注意が必要です。また、光を分散する影響で、1点に100%の光を集中させる単焦点レンズに比べると、シャープさに欠けると感じることもあります。
つまり、とにかく眼鏡をかけずにスマホや読書を楽しみたいという「手元の見え方」を最優先したい方に向いているレンズです。
当院で取り扱いがあるレンズでは「クラレオンパンオプティクス」などがこの回折型3焦点眼内レンズにあたります。
クラレオンパンオプティクスについても別記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
術前に整理しておきたい「見え方の希望」
手術前には、年齢・ライフスタイル・性格・希望など、さまざまなことを考える必要があります。そのうえで、ライフスタイルに合ったレンズを選ぶことが重要です。
ライフスタイルに合わせて、遠くを重視するか近くを重視するかを相談して眼内レンズを決めます。
具体的には、次の項目を術前に整理しておくとよいでしょう。
- 夜間運転の頻度(週に何度、どの時間帯か)
- 手元作業の多さ(読書・スマートフォン・裁縫など)
- メガネをどこまで許容できるか
- 仕事や日常生活で、どの距離の見え方を優先したいか
費用も、眼内レンズを選ぶうえで重要です。
選定療養では、多焦点眼内レンズの代金を自己負担していただくため、片眼につき33〜35万円程度の費用が追加でかかります。
手術前に、ライフスタイルと費用の両方を考えておくとよいでしょう。
詳しい費用については、別の記事で解説しています。
視能訓練士と院長のカウンセリングが必要な理由
カウンセリングを受けることで、納得した眼内レンズを選ぶことが重要です。
当院では、9名の視能訓練士が在籍しており、検査やカウンセリングをサポートしています。
視能訓練士と院長が連携し、患者様に最適な眼内レンズを提案しています。
まとめ:生活を整理し、カウンセリングで自分に合うレンズを選ぼう
この記事のポイント
- ハローは光の輪、グレアはまぶしさで、多焦点レンズで生じやすい
- 夜間の運転が多い方は、ハロー・グレアが生じにくい多焦点眼内レンズを考える
- 手術前に、視能訓練士と院長のカウンセリングを受け、最適な眼内レンズを選ぶ
ハロー・グレアは、多焦点眼内レンズを考えるときに、知っておくべき症状です。
EDOF型多焦点眼内レンズは、ハロー・グレアが生じにくいので、夜間の運転が多い方に選ばれることが多いです。
眼内レンズは単焦点・多焦点などさまざまな種類がありますので、まずはご自身の生活スタイルと見え方の希望だけを整理し、カウンセリングで院長・視能訓練士と具体的に相談することをおすすめします。
もし白内障治療・眼内レンズ選びに不安がありましたら、一度ご来院ください。
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