白内障とは
正常な水晶体
白内障(濁った水晶体)
白内障の症状
初期の症状としては、まぶしさを感じたり、かすんで見えたり、二重に見えたりします。
進行すると視力が低下します。
視力の低下とは、メガネをかけても視力が出ないことをいいます。
白内障の原因
加齢によるものがほとんどです。どなたにでも起こる病気です。
その他には、外傷、糖尿病、アトピー性皮膚炎、先天性(生まれつき)などがあります。
白内障の検査
診断には、他の眼疾患がないかを検査することが重要です。
視力検査・眼圧検査・眼底検査・細隙灯顕微鏡検査・OCT検査を行います。
白内障の治療
予防の目薬がありますので、軽い白内障の方は使われてもいいかもしれません。
視力が低下した白内障は、手術が必要です。
特に免許更新時に、思ったより視力が出ない場合が多いようです。
高齢者講習を受ける年齢になったら、白内障の検査をお勧めします。
白内障手術について

白内障手術は、カメラでいうとレンズを入れ替える手術です。
機械や道具の進歩もあり、普通の白内障なら10分弱の短時間で手術が終了します。痛みも、ほとんどありません。
わずか2ミリ程の切り口から、水晶体を吸い取り、そこから眼内レンズを入れます。白内障が進行すると水晶体は硬くなります。
白内障手術は水晶体を吸い取るというより、硬いものを超音波で割ってから吸い取るといったイメージになります。
眼内レンズの大きさは6ミリくらいあります。それを2ミリ程の切り口から入れるために、特殊なインジェクター(筒のような道具)を使います。
インジェクターの中で眼内レンズを丸まった状態にして小さくします。
そして、インジェクターを使って2ミリ程の切り口から眼内レンズを目の中に入れます。その後、目の中でレンズを広げます。
白内障手術の流れ
白内障手術の費用(保険診療)
保険診療での白内障手術費用(自己負担額)
3割負担の方 | 2割負担の方 | 1割負担の方 | |
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自己負担金(片眼) | 約45,000円 | 約30,000円 | 約15,000円 |
※生命保険に加入しておられる方は、手術給付金を受けることができる場合があります。加入されている生命保険会社にご確認ください。
※高額療養費制度とは、年齢や収入により、1か月の医療費の自己負担額に上限があり、申請することにより一定の金額を超えた部分が払い戻される制度です。
国民健康保険、老人保健へ加入の方は各市町村、社会保険へ加入の方は各保険者から支払われます。
上限額によっては、両眼の手術を同月に受けた方が、還付金が多い場合があります。
厚生省『高額療養費制度を利用される皆さまへ』▶
送迎サービスのご紹介
日帰り白内障手術では、無料送迎サービスをしております。
送迎は、手術日と術後1週間の通院です。
手術を受けられる患者様のご負担を少しでも減らしたいと思っています。
ご質問がありましたら、お気軽にご相談ください。
当院の白内障手術

当院ではすべての手術を院長が執刀しています。
その他、手術室の中には4人、回復室には2人の看護師がサポートいたしますので安心して治療を受けて頂けます。
あらゆる症例に対応するだけでなく、その治療効果を最大限に発揮する最新の診療設備を導入しています。
ベリオンやlOLマスター700などの新しい機器を用いて、術後屈折誤差を減らすこと、精度の高い乱視矯正をすることなどを、すべての白内障手術で行っています。
衛生面においても白内障手術などの内眼手術は、土足禁止の2階で行っております。
手術室は、清浄度クラス10,000/NASA基準、HEPAフィルターがセットしてありますので万全を期しております。
また2階にはエレベーターがありますので、車いすの方でも問題ありません。
白内障手術の流れ
白内障手術前の検査に2回来院していただきます。
これは、眼内レンズの度数を決めるために、2回検査をして精度(正確さ)を高めるためです。
手術日は毎週水曜日午後です。
術前検査日
❶一般眼科検査
視力検査、屈折検査、眼圧検査、前眼部検査、眼底検査を行います。
❷角膜内皮細胞顕微鏡検査
角膜内側の細胞の数を計測し、角膜の健康状態を測定します。
手術や、強い炎症の後では細胞の形が悪くなって密度が低下していることがあります。
❸IOLマスター(眼内レンズの度数を決めるための検査機器です)
白内障の手術の際には眼内レンズを用います。
この眼内レンズは眼鏡やコンタクトレンズと同様に色々な度数があり、その人に合ったレンズの度数を選ぶ必要があります。
❹ベリオンによる検査
べリオンは、白内障手術における乱視矯正や、正確な切開位置や、眼内レンズの中心固定などを行うのに必要な情報を検査します。
この検査を行うことで、手術中に患者様に行うべきことを手術者がのぞく顕微鏡にうつし出すことができます。
❺血液検査
採血(12cc)をし、全身状態を調べ、手術に支障がないかを検討します。
手術説明日
❶IOLマスター(眼内レンズの度数を決めるための検査機器です)
精度を上げるための、2回目の検査です。
❷ベリオンによる検査
精度を上げるための、2回目の検査です。
❸涙のう洗浄
涙の通り道を調べる検査です。
術後の感染症予防のために検査しています。
❹手術説明
医師からの手術説明と看護師からの生活面などの説明があります。
手術日の3日前から抗生物質の目薬をしていただきます。
目にいる菌の量を減らし、術後の感染を予防します。
手術当日
❶手術2時間前の来院
手術2時間前に来ていただきます。
来院される時間は、数日前にお電話します。
❷健康状態の確認
健康状態の確認をします。
散瞳薬(瞳を広げる目薬)と抗生物質の目薬を十分効くまで何度も点眼します。
手術の時間が近づいたら、麻酔の点眼をします。
点滴ルートを取ります。
❸手術室で手術
手術室で手術をします。
10分ほどで終了します。
❹回復室で休憩
回復室で休んでいただき、全身に問題ないかチェックをします。
問題なければ、帰宅していただきます。
※無料送迎サービスもありますので、ご利用ください。
手術後の診察
手術後の診察は、木曜日・金曜日・土曜日の3日間来ていただきます。
その後は、1週間毎の診察となります。
術後の注意点
手術後の日常生活で大切なことはこの2点です。
◎目に水を入れない ◎目を押さえない
くすり
目薬:なくなる前に医師より処方を受けてください。
内服薬:術後に処方された日数分を飲みきって終わりです。(3日間)
嗜好品
アルコール:目に充血が起こりやすくなるため、手術当日はお控えください。
活動
車の運転:手術後1週間はお控えください。その後は医師と相談してください。
激しい運動:1ヶ月間はお控えください。
身体の清潔
- 入浴は手術翌日から首から下のみ入浴可能です。
- 洗顔・洗髪:手術後3日目より可能です。
- 目を絶対に押さえないように注意してください。
- 目に水が入らないように注意してください。
メパッチという洗髪時に目に貼る防水シートをご用意しておりますので、ご希望の方はおっしゃって下さい。
(自信がない方は、ご家族や美容院で洗っていただけるとよいかと思います。)
メガネ作製
術後の視力が安定した後、必要ならメガネ処方をいたします。個人差がありますが、おおよそ術後1ヶ月を目安にしてください。
早めに必要な方は、医師にご相談ください。
以上、手術後の日常生活について一応の基準をご説明しました。個人差があるので、詳細は医師・看護師にお尋ねください。
白内障手術に関するよくある質問
- 白内障は治りますか?
-
白内障は水晶体(レンズ)のタンパク質が変性して濁る病気です。
ゆで卵の白身が透明に戻らないのと同じです。手術で透明な人工レンズに入れ替えるしかありません。
白内障が軽度の方には、進行を遅らせる目薬があります。
- 白内障手術は、いつ受けたらいいのでしょうか?
-
基本的には、見にくくなった時です。
運転免許更新のある方は、0.7が必要になりますので、それを満たさない方は白内障手術をお勧めします。
- 手術に痛みはありますか?
-
ほとんどありません。麻酔が効きにくい方、痛みに弱い方など、ご心配な方は事前にお知らせください。
- 白内障手術中に瞬き(まばたき)してしまうか心配です。
-
開瞼器という器具で目を開けて手術をしますので、瞬きはできません。ご心配なさらないでください。
- 白内障手術中にメスなどは見えるのでしょうか?
-
顕微鏡の光が眩しくて、何かが動いている程度しかわかりません。ご心配なさらないでください。
- 白内障手術は、どのような体勢で受けるのでしょうか?
-
仰向けで寝た状態で行います。
- 腰や首が痛いのですが、白内障手術時の仰向けの姿勢でうけるのが心配です。
-
痛くないようにベッドの角度を変えます。
それでも痛い場合、タオルや枕を使い、痛くない姿勢にしてから行います。
- 緊張しやすいので、手術中が心配です。
-
手術は10分弱なので、ほとんどの人が問題ありません。
しかし、心配でしたら手術前に緊張を和らげる注射をすることも可能です。
ご心配な方は事前にお知らせください。
- 白内障は失明しますか?
-
日本では、ほとんどありません。
しかし、世界の失明原因のトップは、白内障です。医療のいき届かない発展途上国では、まだ手術を受けることができない人がたくさんいます。
日本の医療制度と高い技術力により、白内障で失明する人は、ほとんどいません。
- 免許更新まで日にちがありません。間に合いますか?
-
間に合うように、精一杯の努力をします。
どうしても免許更新に間に合わないときは、失効という扱いになります。各自でご確認をしていただくことをお勧めします。
- 両眼とも同じ日に手術はできますか?
-
できます。
免許更新が近い、仕事の都合があるなどの理由がある方は、希望があれば同日に行います。
- 強度近視は治りますか?
-
治ります。
眼内レンズの度数を調節することで治ります。
- 乱視は治りますか?
-
ほぼ治ります。
乱視とは、主に角膜(黒目)のひずみです。乱視には、正乱視と不正乱視があります。
正乱視は、乱視矯正用の眼内レンズで治ります。
不正乱視は、けがや円錐角膜などさまざまな原因で起こる乱視で、矯正は困難な場合があります。
当院では、乱視矯正に非常に効果のあるベリオンという機器を導入しています。
- 白内障手術後は、メガネが必要ですか?
-
通常は必要になります。
単焦点眼内レンズを選ばれた方は、遠くにピントを合わせると近用メガネ(老眼鏡)が必要になります。近くにピントを合わせると遠用メガネが必要になります。
遠くも近くもある程度見たい、メガネの依存度を減らしたいという方は多焦点眼内レンズという選択肢もあります。
- 単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズとを迷っています。どちらがいいのでしょうか?
-
個人の生活スタイルにより選ぶことをお勧めします。
遠くをしっかり見たいと思われ、メガネをかけることに抵抗がない方は単焦点眼内レンズをお勧めします。
仕事や趣味などで、遠くも近くもある程度見たい方は多焦点眼内レンズをお勧めします。
- 緑内障があっても白内障手術は受けられますか?
-
受けられます。
当院では、センチュリオンという白内障手術装置を使用しています。センチュリオンは、手術中の眼圧コントロールシステムが搭載された唯一の白内障手術装置です。
術中の眼圧を下げることで、手術中の視神経へのダメージを最小限にすることが可能です。
- 網膜に病気がありますが、白内障手術はできますか?
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できます。
しかし、網膜の状態によっては、白内障手術後に視力が出にくい場合があります。そのような場合は、手術前にご説明しています。
- 血の止まりにくい薬を内服していますが、手術は可能でしょうか?
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可能です。
白内障手術を含め、ほとんどの眼科手術は出血が非常に少ない手術です。
抗血小板剤・抗凝固剤などの血が止まりにくいお薬を内服されている方でも、内服したまま手術が可能です。
- 手術をしても、また白内障になりますか?
-
白内障になることはありません。
しかし、眼内レンズに濁りが付着する後発白内障が起こることがあります。
後発白内障はレーザー治療で濁りをとり、視力を回復することができます。
- 眼内レンズは永久ですか?
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永久と考えていいと思います。
昔は、眼内レンズに沈着物が付いたり、眼内レンズが白く濁ったりするものがありました。
しかし、現在、使用されている眼内レンズは改善されています。
- 白内障手術をしても、また見にくくなることはありますか?
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白内障だけが、目の病気ではありません。
白内障手術をしても他の目の病気にはなります。
白内障ではなく、他の疾患で見にくくなることはあります。
- 手術の通院が困難です。
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送迎サービスがありますので、ご利用ください。