2022.11.13
【眼科医が教える】白内障レンズの種類や寿命・保険適用について解説!

この記事の執筆者

熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。
目次
眼内レンズの種類
白内障手術で目の中に入れる眼内レンズは、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2つに分けられます。また、それぞれに、乱視矯正用眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)があります。
つまり、単焦点眼内レンズ(乱視矯正なし)、単焦点眼内レンズ(乱視矯正あり)、多焦点眼内レンズ(乱視矯正なし)、多焦点眼内レンズ(乱視矯正あり)の4種類があります。
眼内レンズの種類によるメリット・デメリット
単焦点眼内レンズ
- メリット
ピントが合った位置は、鮮明にクリアーにみえる。
保険適用のため、費用の負担が少ない。 - デメリット
ピントが合う位置が狭いため、メガネの依存度が高くなる。
多焦点眼内レンズ
- メリット
ピントの合う位置が広いため、メガネの依存度が減る。人によっては、メガネなしで生活できようになる。 - デメリット
目の中に入ってくる光を遠方と近方に分けるため、ピントがあまくなり、コントラストが下がる場合がある。
夜間に街灯に光の輪が見えたり、まぶしく見えるハロー・グレアという症状が出る人がいます。しかし、ハロー・グレアが、出にくい多焦点眼内レンズがあります。
費用の負担が多い。
眼内レンズの寿命
眼内レンズの寿命は半永久的と考えられています。
一度入れた眼内レンズを取り替える手術は、簡単ではありません。
一度入れた眼内レンズは、余程のことがないかぎり、取り替えることはありません。
眼内レンズの分類
保険適用の単焦点眼内レンズ
保険適用では、一般的に単焦点眼内レンズを使用します。
選定療養の多焦点眼内レンズ
選定療養とは、国に認められた多焦点眼内レンズを使用することを条件に、手術代、診療代、検査代、薬代を保険適用で、多焦点眼内レンズにかかわる費用を自己負担していただく制度です。
当院では、遠方・中間・近方がスムーズに見える3焦点眼内レンズを使っています。日本で2019年の6月に承認された国内初の3焦点眼内レンズであるパンオプティクスが、更に透明性を増したクラレオン パンオプティクスを使っています。
自由診療の多焦点眼内レンズ
自由診療は、病院が個人で輸入した光学的に優れた海外の多焦点眼内レンズを使用します。
当院では、今までの2焦点、3焦点眼内レンズと違う「焦点深度拡張型」という構造により、遠距離・中間距離・近距離と自然な見え方をする多焦点眼内レンズを使っています。その中でも、多焦点眼内レンズのデメリットであるハロー・グレアが殆どないイタリア製の多焦点眼内レンズであるミニウェルを使用することができます。
白内障手術の費用に関しては、別の欄で、説明させてもらいますので、是非、参考にしてみて下さい。
参考記事※白内障治療の費用は?手術期間やリスクについても徹底解説※
多焦点眼内レンズを考えている方へ
生活スタイルにより、メガネの依存度を減らしたいという方が対象になります。多焦点眼内レンズは、ピントの合う距離が広くなりますが、絶対にメガネが必要でなくなるというわけではありません。
人によっては、メガネが不要になる方もいます。
仕事などで、ある一定の距離だけをしっかり見たいという方は、単焦点眼内レンズを選ばれた方がいいでしょう。
また、多焦点眼内レンズを希望されても、目に他の病気がある方は多焦点眼内レンズの適応にならないことがあります。
まとめ
- 眼内レンズには、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあります。
- 単焦点眼内レンズは、ピントの合う位置はクリアーに見えますが、ピントの合う位置が狭いためにメガネの依存度が高くなります。
- 多焦点眼内レンズは、ピントの合う位置が広いため、メガネの依存度が減ります。しかし、術後にハロー・グレアなどの症状が出る方がいます。
- 術後のハロー・グレアが出にくい多焦点眼内レンズがあります。
- 眼内レンズの寿命は、半永久的で、取り替える手術をすることは、殆どありません。
- 多焦点眼内レンズには、選定療養の多焦点眼内レンズと自由診療の多焦点眼内レンズの2つの料金体系があります。
- メガネの依存度を減らしたい方は、多焦点眼内レンズを考えてもいいでしょう。
- 一定の距離をしっかり見たい人は、単焦点眼内レンズを選ばれた方がいいかもしれません。
この記事の執筆者

熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。