角膜潰瘍とコンタクトレンズ

角膜潰瘍とコンタクトレンズ

角膜潰瘍とは、角膜実質という深い層まで損傷が及んだ状態です。

治療が遅れると視力低下などの後遺症を残す可能性があります。

コンタクトレンズの不適切なケアや粗悪なおしゃれ用カラーコンタクトレンズが原因になることが多いため、コンタクトレンズをお使いの方は、是非、知っておきたい病気です。

 

【角膜とは】

角膜とは、眼球の一番表面にある『黒目』の部分で、目の中に光を取り込む入口にあたり、光を屈折させて眼内へ送り込みます。

 

【角膜の構造】

角膜の厚みには個人差がありますが500μmで、500μmとは0.5㎜です。

外側から順に、以下の5層から成り立ちます。

  • 角膜上皮

角膜上皮は最も外の層で、表面が涙で保護されており、最も再生修復する能力が高いです。角膜上皮は、最も外の層で外界に接していますのでキズが付くリスクが高いため再生修復する能力が高いです。

  • ボーマン膜

角膜上皮と角膜実質を接着する役割をしています。

  • 角膜実質

角膜実質は角膜全体の厚みの90%を占める最も厚みのある層で、角膜を透明に保つために重要な層です。コラーゲン線維が規則正しく配列することで透明性を維持しています。角膜潰瘍は、この層まで損傷が及ぶ病気です。

  • デスメ膜

角膜実質と角膜内皮を結び付け、角膜の形を保つ役割をしています。

  • 角膜内皮

角膜内皮は、ポンプ機能があり、余分な水分をくみ出し、角膜の水分量を一定に保つことで角膜の透明性を維持しています。また、前房水からの栄養を取り入れて角膜に栄養を与えるという重要な役割も果たしています。

 

【角膜の傷の分類】

角膜の傷は深さで分類されます。

  • 点状表層角膜症

角膜上皮の浅い傷で、ドライアイやコンタクトレンズなどが原因で起こります。

  • 角膜びらん

角膜上皮がめくれて、強い痛みや充血を伴う場合が多く、原因は外傷などさまざまです。基本的には、、治療を行えば、後遺症を残さずに治ることが期待できます。

  • 角膜潰瘍

角膜実質まで損傷が及んだ状態です。角膜実質まで損傷されると治りが遅くなるため、角膜に濁りを残して、不可逆的(元に戻らない)視力障害を残すことがあるので、非常に深刻です。

 

 

【角膜潰瘍の症状】

異物感、痛み、充血、流涙、まぶしさ、視力低下など

 

 

我々眼科医が日常診療で遭遇する『感染による角膜潰瘍』はコンタクトレンズが原因になることも多く、コンタクトレンズ使用にあたっては注意が必要です。

 

【感染による角膜潰瘍の原因】

  • 細菌

細菌性角膜潰瘍は、我々眼科医が、日常診療で、よく遭遇します。

外傷やコンタクトレンズが原因となることが多く、原因菌には、ブドウ球菌・肺炎球菌・緑膿菌・セラチアなどがあります。傾向としては、寒い地域ではブドウ球菌の頻度が増加し、温かい地域では緑膿菌の頻度が増加します。

症状は、異物感・痛み・充血、まぶしさ、視力低下など様々です。鏡で見て、黒目に白い点が見える場合も多く、そのような場合は早急に眼科を受診して下さい。

治療は、抗菌薬の目薬・軟膏・内服・点滴が行われます。

  • 真菌(カビ)

真菌性角膜潰瘍は、植物による外傷などが原因になることが多く、免疫が低下した患者さんに起こる場合が多いです。診断や治療も難しく、治療には長期を要する場合が多いです。

  • ウイルス

ウイルスの中では、ヘルペスウイルスが重要です。ヘルペスウイルスは、幼少期に初感染して、体の神経組織にすみつきます。そして、免疫力が低下した時などに、角膜に移動して、角膜ヘルペスを起こします。診断は、特徴的な角膜所見である樹枝状角膜炎によってなされることが多いです。治療には、抗ウイルス薬の軟膏や内服が使われます。

  • アカントアメーバ

アカントアメーバは、頻度は低いものの、診断が難しく、効果がある薬がないため、治療が困難で、最悪失明に至る病気です。アカントアメーバは、水の中、土の中、ほこりなどに存在します。コンタクトレンズ使用者に多く、不適切なケアが原因になる場合が多いです。

 

 

【角膜潰瘍とコンタクトレンズ】

感染による角膜潰瘍の多くは、コンタクトレンズの不適切なケアが原因になっています。

以下のことに気を付けて下さい。

  • コンタクトレンズを扱う前には、手指をセッケンで洗う。
  • コンタクトレンズをこすり洗いをする。
  • ソフトコンタクトレンズは水道水では洗わない。
  • コンタクトレンズケースを洗浄・乾燥させる。
  • コンタクトレンズケースを定期的に交換する。

 

コンタクトレンズは、薬事法で高度管理医療機器のクラスⅢに分類されています。バルーンカテーテル・人工骨・人工透析器と同じクラスⅢです。クラスⅢとは、『不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの』と定義されています。

我々、眼科医の殆どが、毎年、コンタクトレンズ販売管理者継続的研修を受けており、十分な知識を持って診療にあたっております。

しかし、おしゃれ用カラーコンタクトレンズやコンタクトレンズ通販などの粗悪なコンタクトレンズを使用したことによる角膜障害の患者様が数多く受診されます。

 

コンタクトレンズを使用される方は、コンタクトレンズを慎重に選んで頂くこと、コンタクトレンズのケアを正しく行って頂くことで、角膜潰瘍などの角膜障害が少しでも減ればと思っています。

 

くまだ眼科クリニック

院長

熊田充起

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