2025.11.14
【院長監修】白内障手術は「日帰り」で可能?当日の運転や付き添いについて解説
「白内障の手術は日帰りって聞いたけど、本当に入院しなくて大丈夫?」「手術当日は一人で行って大丈夫…?」「費用や時間も具体的に知っておきたい」
医師から白内障手術を勧められたものの、こんな不安を感じていませんか。
現在の白内障手術は、入院の必要がないケースが一般的です。 手術そのものは10分程度で終わり、基本的には付き添いがあった方が安心してご帰宅いただけます。
この記事では、白内障の日帰り手術を控えた方に向けて「入院が必要になるケース」から「当日の通院手段」「費用や時間の目安」まで、専門医の立場から具体的に解説します。
この記事でわかること
- なぜ白内障手術は「日帰り」が基本なのか
- 入院が必要になる具体的なケース
- 日帰り手術の費用と時間の目安
- 手術当日の通院方法や付き添いの必要性
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。
目次
白内障手術は「日帰り」が基本って本当?
近年、白内障手術は「日帰り」で行うのが当たり前になってきました。
とはいえ、ひと昔前は入院するのが一般的だったため、「本当に入院しなくて大丈夫?」とご不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
現在の白内障手術で主流となっている「超音波水晶体乳化吸引術」では、角膜をわずか2mmほど切開するだけで、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入できます。 切開創が非常に小さいため、身体への負担が大幅に軽減され、術後の回復も早くなりました。
手術時間そのものも、片眼あたり10分〜15分程度と非常に短時間で完了します。 安全性も高くなり、手術後の感染症といった合併症のリスクも極めて低くなりました。
このような背景から、現在では多くの医療機関で日帰り手術が基本の選択肢になりました。
白内障手術で入院が必要になる3つのケース

ほとんどの場合は日帰りで手術が可能ですが、患者様のお体の状態や生活環境によっては、入院を選択した方が良いケースもあります。
ここでは、どのような場合に入院が検討されるのか、代表的な例をご紹介します。
①:通院が難しい(遠方からの通院など)
白内障手術では、安全に視力を回復させるため、手術翌日や1週間後など、術後に複数回の検診が必要です。
ご自宅がクリニックから遠い場合、この頻繁な通院が大きな負担になることがあります。 特にご高齢の方にとって、長距離の移動は心身ともに大変です。 このようなケースでは、無理に通院を繰り返すよりも、入院して術後の経過をしっかりと管理する方が安心、と判断されることがあります。
②:医師から入院を勧められた(持病があるなど)
患者様がもともと持っている病気によっては、医師が入院を勧める場合があります。
重度の全身疾患をお持ちの方は、入院して慎重に全身を管理しながら白内障手術を行う方が望ましい場合があります。
また、他の目の病気を合併していて手術がより複雑になる場合にも、万全を期して入院が選択されることがあります。
③加入している医療保険の制約がある
ご自身が加入している民間の医療保険の契約内容が、入院を選択する理由になることもあります。
最近の保険商品は日帰り手術でも給付金の対象となるものが主流ですが、古いタイプの保険では「入院を伴う手術」でなければ給付金が支払われない、という条件が付いている場合があります。
治療自体は日帰りで全く問題なくても、こうした経済的な理由から、あえて入院を選ぶ患者様もいらっしゃいます。
【院長コラム】希望すれば入院は選べるの?

基本的には、医学的な安全性を最優先に医師が判断しますが、上記で挙げたような通院や保険のご事情がある場合は、もちろん入院も選択できます。
ただし、当院には入院設備がございません。 「やはり手術後は病院に泊まりたい」「自宅に帰るのが少し不安」といったお気持ちがあれば、まずは一度医師にご相談ください。
患者様が最も安心できる形で治療を受けられるよう、一緒に最適な方法を考えていきましょう。
日帰り白内障手術の費用は?
日帰り手術を選択した場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか。 白内障手術は公的医療保険が適用されます。 ここでは、自己負担額の目安について解説します。
片眼あたりの手術費用は以下の通りです。
| 自己負担割合 | 費用の目安(片眼) |
|---|---|
| 3割負担 | 約53,000円 |
| 2割負担 | 約36,000円 |
| 1割負担 | 約20,000円 |
上記はあくまで目安です。手術内容により変動します。なお、ピントが複数の距離に合う「多焦点眼内レンズ」など、選定療養の対象となるレンズを選択した場合は、上記の費用に加えて別途追加料金が必要となります。
詳しくは以下のページをご覧ください。
日帰り手術の所要時間はどれくらい?

「手術」と聞くと、長時間かかるイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、現在の白内障手術は片眼あたりわずか10分程度で完了します。
もちろん、ご来院いただいてすぐに手術が始まるわけではありません。 手術前には、健康状態の確認や、瞳孔を開くための点眼、麻酔など、安全に手術を行うための準備を丁寧に行います。 そして手術後も、回復室で少しお休みいただき、お体の状態に問題がないことを確認してからご帰宅いただけます。
ご来院からお帰りまでの院内滞在時間は、全体で2〜3時間程度を見ていただくと良いでしょう。
日帰り白内障手術でよくある質問
最後に、日帰り手術を検討されている方からよくいただくご質問に、Q&A形式でお答えします。
Q1:手術当日に車を運転して帰れますか?
A:いいえ、手術当日は運転しないでください。
手術の際には、瞳孔を開く目薬を使用するため、術後はしばらく視界がぼやけた状態が続きます。 また、術眼に眼帯をすることもあり、視野が狭くなるため非常に危険です。
ご自身の安全のため、そして周りの方のためにも、手術当日の車・バイク・自転車の運転はお控えください。 なお、当院では術後1週間は運転を控えていただくようお願いしています。 運転の再開時期については、術後の診察で医師にご確認ください。
Q2:家族の付き添いや送迎は必要ですか?
A:はい、できる限り付き添いやご家族による送迎をお願いしています。
ご自身で運転ができないため、公共交通機関やタクシーでご帰宅される方もいらっしゃいますが、術後は視界が不安定になりがちです。 可能であれば、ご家族に付き添いや送迎を依頼されると、より安心です。
「どうしても付き添いの手配が難しい」という方には白内障手術を受けられる患者様を対象に、無料の送迎サービスをご用意しております。 ご希望の方はお気軽にスタッフまでお申し付けください。
※ご自宅からの距離によっては不可となる場合がございますので、まずはスタッフにお尋ねください。
日帰りだからこそ、「通院手段」を考慮した治療計画を

この記事では、白内障の日帰り手術に関する様々な疑問にお答えしてきました。 現在の白内障手術は日帰りで安全に行えるのが基本ですが、ご自身の健康状態や生活スタイルによっては入院を選んだ方が良いケースもあります。
大切なのは、手術内容や当日の流れについて事前にしっかりと理解し、不安を解消しておくことです。
この記事のポイント
- 白内障手術は技術進歩により「日帰り」が基本で、安全に行える
- 遠方からの通院や持病がある場合などは「入院」も選択肢になる
- 手術時間は約10分、院内滞在時間は2〜3時間が目安
- 術後1週間は車の運転ができないため、送迎や公共交通機関の利用が必要
- 通院方法や術後の生活など、不安な点は事前に医師と相談することが最も大切
「自分の場合は日帰りと入院どちらがいいのかな?」「当日の送迎を頼める人がいないのだけど…」など、もしご心配事があれば、どうか一人で抱え込まず、専門医にご相談ください。
私たち、くまだ眼科クリニックでは、患者様一人ひとりのご事情を丁寧に伺い、安心して手術に臨めるよう、個別の治療計画を一緒に考えさせていただきます。
特に、手術当日の通院に不安がある方のために、無料の送迎サービスもご用意しておりますので、どうぞお気軽にご利用ください。
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