マイボーム腺機能不全

マイボーム腺機能不全

マイボーム腺とは

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マイボーム腺は、まぶたの上下にある瞼板の中にあり、まつ毛の生え際にある出口(開口部)から瞬きのたびに油層(涙の一番外側の層)を分泌します。

マイボーム腺は、各目の上まぶたに約50本、下まぶたに約25本ずつあり、油層をつくり涙の蒸発を抑える働きをしています。

マイボーム腺機能不全(MGD)とは

 

マイボーム腺機能不全(MGD)とは、マイボーム腺の中で油が固まり詰まってしまうことで油が分泌されずに油層が不安定になる状態です。

油層が破壊されると涙が蒸発し、ドライアイを発症します。マイボーム腺機能不全(MGD)はドライアイの1番の原因と考えられています。

ドライアイ以外でも、ものもらい(霰粒腫や麦粒腫)、眼瞼炎の原因になります。日本人の約3人に1人がマイボーム腺機能不全で、年齢とともに発症頻度が増します。診断は、自覚症状とマイボーム腺開口部の閉塞所見により行われます。

マイボーム腺機能不全(MGD)自体の自覚症状としては、流涙、眼不快感、異物感、乾燥、痛み、灼熱感、かゆみ、目やに、眼精疲労、羞明(まぶしさ)、霧視など様々な症状があります。

マイボーム腺機能不全
(MGD)の原因

加齢による機能低下

感染症

メイクの落とし残し

原因の多くは加齢による機能低下です。

まつ毛の生え際で増殖する細菌をエサとしているデモデックス(まつげダニ)の関与も注目されています。
若い方の原因として、メイク落としやまつ毛エクステンションなどがあります。

1つの原因だけではなく、加齢プラス感染など、マイボーム腺機能不全(MGD)はさまざまな原因が複合しています。

マイボーム腺機能不全
(MGD)によって起こる病気

ドライアイやものもらいは、このマイボーム腺機能不全によって発症するケースがあります。

ドライアイ

マイボーム腺機能不全(MGD)により、油層が壊れて、涙の蒸発が亢進することでドライアイになります。
ドライアイの約86%にマイボーム腺機能不全(MGD)が関与していると言われています。

ものもらい

霰粒腫や麦粒腫は、マイボーム腺が詰まったり、感染を起こしたりすることが原因です。

マイボーム腺機能不全
(MGD)の治療

マイボーム腺機能不全の治療の目的は、油の詰まりを取り除くことと炎症や感染を抑えることにあります。
大きく分けて、「家で行う治療」「薬物治療」「病院で行う治療」の3個に分けられます。

家で行う温罨法と眼瞼清拭(リッドハイジーン)は必ず行うことが前提で、手間がかかっても継続することが重要です。

温罨法と眼瞼清拭(リッドハイジーン)を行った上で、他の治療を加えることが重要です。

家で行う治療

温罨法
(おんあんぽう)

まぶたを温めることで詰まった油を溶かします。1回5分程度で、朝晩の1日2回行うと効果的です。
「あずきのチカラ」など市販品による温罨法をお勧めしています。
最も大切なのは、継続して行うことです。

眼瞼清拭
(リッドハイジーン)

眼瞼清拭(リッドハイジーン)は、簡単に言うと、まぶたを綺麗にすることです。まつ毛の生え際を専用のシャンプーを用いて、鼻側から耳側へ一方通行で、優しく擦るようにマッサージするように洗浄します。
温罨法の後に行うと効果が増します。

サプリメント

オメガ3脂肪酸は、まぶたの炎症を抑えることで、マイボーム腺機能不全による不快な症状を改善します。
食品ではえごま油やアマニ油や青魚の油に多く含まれます。
しかし、食品で十分に補充するのは困難です。そのような場合は、サプリメントにより、オメガ3脂肪酸の補充を行います。

薬物治療

アジスロマイシン点眼

マイボーム腺機能不全で起こったまぶたの炎症を改善します。
合計で14日間点眼します。最初の2日間は1日2回点眼して、その後の12日間は1日1回点眼します。夜の点眼をお勧めしています。
最初の2日間は、刺激感や充血や目の霞みがありますが、3日目からほぼ落ち着きます。
温罨法と眼瞼清拭(リッドハイジーン)後に点眼すると効果的です。

ステロイド点眼

マイボーム腺機能不全で起こった炎症を抑えます。
ステロイド点眼の長期使用は眼圧上昇を起こす可能性がありますので、定期的な眼圧測定をお勧めします。

抗菌薬内服

マクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が有効と考えられています。
点眼薬と違い、内服薬は全身の副作用に注意が必要です。

病院で行う治療

マイバム圧出

特殊な鑷子(セッシ)でまぶたを圧迫して、詰まった油を圧出します。2週間から数か月に1度の通院時に行います。
家で温罨法と眼瞼清拭(リッドハイジーン)を行っていることが前提となります。

IPL

IPL治療は、美顔治療など美容でも使われる機器を用いて行います。特殊な光をまぶたにあてることで、まぶたの温度を上げて詰まった油を溶かします。
また、異常な血管を閉塞することで炎症を抑えたり、熱により細菌やデモデックスを減らす、マイボーム腺の形を修復するなどの効果があります。

マイボーム腺機能不全に
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よくある質問

マイボーム腺機能不全(MGD)とは何ですか?

マイボーム腺機能不全(MGD)とは、まぶたの縁にあるマイボーム腺の機能が低下し、正常な油層分泌が行われなくなる状態です。
これにより、涙の蒸発を防ぐ油層が正常に形成されず、ドライアイを起こします。
また、ものもらい(霰粒腫、麦粒腫)の原因にもなります。

マイボーム腺機能不全の主な症状は何ですか?

流涙、眼不快感、異物感、乾燥、痛み、灼熱感、かゆみ、目やに、眼精疲労、羞明(まぶしさ)、霧視など様々な症状があります。

マイボーム腺機能不全の原因は何ですか?

加齢やアイメイクによる開口部の閉塞、炎症や感染などがあります。特に40歳以上の方で徐々に増加します。
日本人の約3人に1人がマイボーム腺機能不全と言われています。

マイボーム腺機能不全の治療法にはどのようなものがありますか?

主な治療法には以下があります。

  • 家で行う温罨法(おんあんぽう)、眼瞼清拭(リッドハイジーン)、サプリメント
  • 薬物療法として、アジスロマイシン点眼、ステロイド点眼、抗菌剤内服
  • 病院で行うマイバム圧出、IPL治療

温罨法(おんあんぽう)と眼瞼清拭(リッドハイジーン)は家でできる治療なので、必ず行うことをお勧めしています。

温罨法のやり方は?

マイバム(油)の融点は28℃~32℃です。まぶたを温めることで詰まった油を溶かします。
1回5分程度で、朝晩の1日2回行うことをお勧めしています。

最も大事なことは、継続して行うことです。

温罨法では瞼を何で温めるのが有効ですか?

まぶたが濡れていると気化熱で温度が下がり、逆に油が固まってしまうため、気化熱で温度が下がる蒸しタオルは効果は期待できません。
市販品には「あずきのチカラ」「ホットアイマスク」「目もとエステ」「トルマリンアイマスク」などがあり、特に「あずきのチカラ」は保温効果もよくコストが安いためお勧めです。

温罨法をやっていけない時はありますか?

花粉症などで瞼に炎症がある時に行うとかゆみや充血が悪化することがあります。
そのような時は、一時的に温罨法を中止することをお勧めします。
ご自身で判断できない時は、眼科医にご相談下さい。

眼瞼清拭(リッドハイジーン)のやり方は?

眼瞼清拭(リッドハイジーン)とは、まぶたを綺麗にすることです。
ポイントは、まぶたの力を抜いて、まつ毛の根部を意識して優しくマッサージするように行い、最後に十分に洗い流します。マッサージは、鼻側から耳側へ一方通行で行います。
温罨法の後に行うと効果的です。
大事なことは、温罨法と同様に継続して行うことです。

眼瞼清拭(リッドハイジーン)は何を使うと良いのでしょうか?

洗うタイプのものと拭き取りタイプのものがあります。
洗うタイプのものには、アイシャンプーやマイボシャンプーなどがあります。
また、ティーツリーオイルを使うとデモデックス(まつ毛ダニ)や細菌に効果があると報告されています。

サプリメントの注意点は?

高脂血症の薬の中にオメガ3脂肪酸含有のサプリメントと同等の成分が含まれている場合があります。
そのような方は、サプリメント内服により、過剰摂取にならないように注意が必要です。

アジスロマイシン点眼の注意点は?

最初の2日間は、刺激感や充血や目の霞みがありますが、3日目からほぼ落ち着きます。
最初の2日間で、ご自身の判断で中止される方がいますので、心配な時は眼科医にご相談下さい。

マイバム圧出の注意点は?

マイバム圧出は複数回必要になります。
圧出時に、ある程度の痛みを伴います。
自宅での温罨法と眼瞼清拭(リッドハイジーン)が行われていることが前提になります。

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